2022年5月27日 (金)
【ベルリン時事】先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会議が26日、ドイツの首都ベルリンで2日間の日程で開幕した。化石燃料からの脱却推進が主要議題で、脱石炭の達成時期について、共通の目標で合意できるかが焦点だ。天然ガスなどロシア産エネルギーへの依存度の低減に向けた方策も模索する。
G7議長国のドイツは、早ければ2030年に石炭火力発電を全廃する計画。環境団体などはG7全体でも高い水準の目標で合意する必要があると呼び掛けている。しかし、石炭への依存度が高い日本は、脱石炭の具体的な期限設定に慎重で、会議終了後に採択されるG7の共同声明が踏み込んだ内容となるかは不透明だ。
ハーベック独経済・気候保護相は記者団の取材に応じ、脱石炭や交通セクターの脱炭素化で「G7が主導的役割を担う」ための議論を行うと強調した。
日本からの出席者は、細田健一経済産業副大臣と大岡敏孝環境副大臣。
一方、G7は8日にオンラインで開いた首脳会議で、ロシア産石油の段階的禁輸で一致した。天然ガスについては、ドイツなどが依然としてロシアからの調達で賄っている現状を踏まえ、液化天然ガス(LNG)の利用など、調達先の多様化に活路を求める方針だ。
このほか、先進国が途上国の温暖化対策のために掲げた年間1000億ドル(約12兆7000億円)の資金援助目標が未達成となっている問題では、早期実現を目指して議論する。
【ロンドン時事】英公共放送BBCは26日、今後数年間で最大1000人の人員を削減すると発表した。同時に経営改革として「デジタル・ファースト(最優先)」を表明。経営資源を旧来の放送からインターネット上のデジタル配信に振り向ける方針を示した。
ティム・デイビー会長は26日に公表した職員向け演説で「BBCはあまりに多くの経営資源をオンラインではなく、放送に集中している」と指摘。ネットフリックスなどの課金制の配信が世界的に主流となりつつある中、「デジタル最優先のBBCに移行する」と宣言した。
改革の一環で、放送チャンネル数を削減し、コンテンツ利用の効率化を図る。子ども向けテレビチャンネルの「CBBC」、総合チャンネルの一つ「BBC4」などの放送を停止。
また、これまで国内向けと海外向けの二つに分かれていたニュースチャンネルを「BBCニュース」として統合する。一方、デジタルサービスを拡充し、多言語放送の一部もデジタルのみにするという。
英政府は今年1月、BBCのライセンス料(日本の受信料に相当)を現行の年間159ポンド(約2万5000円)で2年間凍結した後、物価上昇率に連動させると発表。さらに将来的にはライセンス料制度も見直すと表明している。
【ロンドン時事】ロシア中央銀行は26日、金融政策を決める臨時会合を開き、主要政策金利を3%引き下げ、年率11%とすることを決定した。27日から実施する。外国為替市場で通貨ルーブルが安定を取り戻したことで、通貨防衛のためにいったん引き上げた政策金利の正常化を進める。
ウクライナ侵攻に対する西側諸国の制裁で、ルーブルは2月28日に暴落。このため、中銀は政策金利を9.5%から20%に一気に引き上げた。ただ、その後は段階的に金利を引き下げてきた。
中銀は声明で、「外為市場でのルーブルの値動きと家計・企業のインフレ期待の低下を背景に、物価上昇圧力が緩和された」と指摘。さらなる利下げの可能性も示唆した。
ルーブル相場は対ドルでウクライナ侵攻前の水準を回復しただけにとどまらず、25日には1ドル=55ルーブル台まで上昇し、約4年ぶりの高値を更新した。ロシア政府が自国産天然ガスの支払いをルーブル建てに限定するなどし、需要が強まっていることが背景にある。
ただ、西側諸国の制裁や外国人投資家を対象としたロシアの資本規制などで、ルーブルの流動性は著しく低下しているとされる。このため、「健全な相場環境とは言えない」(英アナリスト)との見方も出ている。
【ロンドン時事】ウクライナの国営通信は26日、ロシア軍が東部ドンバス地方ルガンスク州で、ウクライナ側最後の拠点セベロドネツクとその周辺の町に突入を試みていると伝えた。ウクライナ軍によると、ドンバス地方での支配拡大を図るロシア軍は25日、40以上の町を砲撃するなど攻勢を強めている。
セベロドネツクの陥落は、ロシア軍によるルガンスク州全体の掌握につながる。ロシアには同州制圧を当面の「勝利」として誇示したい思惑があるとみられている。ルガンスク州のガイダイ知事は25日、州の約95%がロシア軍の支配下に入ったと認めた。
ロシア軍は25日、セベロドネツクや川を挟んだ対岸のリシチャンシクなどを攻撃し、住宅や公共ホール、自治体施設などに被害が出た。
セベロドネツクには民間人約1万5000人が取り残され、多くはシェルターに避難しているもようだ。ガイダイ知事は24日、激しい砲撃のため「市外への退避はむしろ危険だ」と警告していた。
ロシア軍はルガンスク州のほか、隣接するドネツク州でも前線各地で激しい砲撃を加えている。ウクライナ軍によれば、両州では25日、民間人5人が死亡し、12人が負傷した。
26日のロシア国営タス通信によると、ルガンスク州の親ロシア派「ルガンスク人民共和国」関係者は、ルガンスク、ドネツク両州でウクライナ兵の死者や捕虜が増加しており、捕虜は約8000人に上ると主張した。