2022年5月26日 (木)
【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)は25日、今月3、4日に行われた連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。それによると、大半の参加者が6月と7月の2会合それぞれで、通常の倍となる0.5%の追加利上げが適切との見解を示したことが分かった。
参加者は、強い雇用を維持する一方、約40年ぶりの高い伸びとなったインフレの低下に重点的に取り組むことで一致。景気を刺激も抑制もしない「より中立的な金融政策スタンスへ迅速に動く」方針で合意した。また、政策金利を景気抑制的な水準とすることについても経済の見通し次第では「十分適切」との見方を明らかにした。
一方で参加者は、ロシアのウクライナ侵攻や、新型コロナウイルス感染の厳しい封じ込めを目指した中国の「ゼロコロナ」政策が、米国および世界経済にリスクをもたらしていると警戒。
一部は、金融政策が強い雇用を維持しつつ、物価安定回復を進める上で難しい課題に直面していると言及した。
FRBは3月に利上げを開始。5月会合で22年ぶりに、0.5%の大幅利上げに踏み切った。多くの参加者は、迅速に利上げを進めることで「年内、金融引き締め効果などを精査する上で有利になる」と強調した。
米国の国内総生産(GDP)伸び率は1〜3月期、マイナス成長に陥った。ただFOMC参加者は個人消費や設備投資が堅調なことから、4〜6月期は堅調な成長に戻ることを予想。22年通年では、長期的な成長率の「近辺かそれを上回る」伸びとなる可能性があると見通した。
また、物価高を招いている需給の不均衡については、「そのうち縮小する」と予測。
金融引き締めが需給不均衡解消対応で中心的な役割を果たすほか、供給障害の緩和や労働参加率の上昇、コロナ危機対応の景気対策の剥落効果などが需給不均衡緩和と、中期的なインフレ低下を支援すると分析した。
その上で参加者は、こうした不均衡緩和要因が「どのように作用するか次第で政策スタンスの調整が必要になる」と見込んだ。
さらに多くの参加者は労働市場が引き続き逼迫(ひっぱく)し、賃金上昇圧力がしばらくは高いままだと予測した。
【ワシントン時事】米議会の超党派機関、議会予算局(CBO)は25日公表した2032年までの予算・経済見通しで、22会計年度(21年10月〜22年9月)の財政赤字が1兆0360億ドル(約132兆円)と、前年度(2兆7750億ドル=約353兆円)から急減するとの見通しを示した。
新型コロナウイルス危機対応での財政出動の影響がなくなったほか、経済の力強い回復を受けて税収が大幅に増える。財政赤字の国内総生産(GDP)比率は22年度が4.2%と、第2次世界大戦以降で最悪だった前年度の12.4%から急低下する。
財政赤字は23年度も減少する見込みだが、向こう10年では徐々に拡大。
32年度にはGDP比で6.1%へ高まると予測された。
連邦準備制度理事会(FRB)の利上げも背景に連邦債務の利払いが増加するほか、社会の高齢化による医療コスト負担が「義務的経費を増やす」(スウェーゲルCBO局長)という。
債務残高も23年度にGDP比96.0%まで低下するが、32年度には109.6%と、米国の経済規模を優に上回ると見込まれた。
CBOは22年10〜12月期の実質GDPに関し、前年同期比3.1%増と予想。個人消費支出(PCE)物価指数は4.0%上昇で、FRBの目標の2%を依然大きく上回って推移する見通し。
【シリコンバレー時事】世界経済フォーラムは25日、スイス東部ダボスで開催中の年次総会(ダボス会議)で、インターネット上の仮想空間「メタバース」に関する官民の国際連携枠組みを立ち上げたと発表した。交流サイト最大手の米メタ(旧フェイスブック)など60以上の企業や機関が参加。利用者の安全性確保、規制などに関する議論を活発化させ、経済価値の創出につなげる狙い。
電通やソニー・インタラクティブエンタテインメントも加わる。民間企業のほか、国連やシンガポール政府も名を連ねた。
国際枠組みでは、メタバースが普及した際の利益やリスクを含め、社会や経済への影響などを検証する。メタで渉外を担当するクレッグ社長は「人々と社会にとって最善の利益になるよう取り組む」とコメントした。
【ブリュッセル・ロイター時事】先進7カ国(G7)の気候・エネルギー・環境相は今週ベルリンで開かれる会合で、石炭火力発電を2030年までに段階的に廃止し、35年までに電力業界の脱炭素化を目指す方針を表明することを検討する。共同声明の草案をロイター通信が確認した。
化石燃料の世界輸出トップのロシアによるウクライナ侵攻を受け、一部諸国はロシア産以外の化石燃料の購入を急ぎ、ロシア産天然ガスへの依存を断つために石炭の使用を増やした。このため、気候変動対策が台無しになるとの懸念が広がった。
会合では、世界的なエネルギー価格高騰や燃料供給懸念への短期的な対策によって、温室効果ガスの排出削減という長期的な取り組みが揺らぐことのないよう尽力する方針の採択を目指す。
草案は27日に採択される前に変更される可能性がある。関係者によると、日本と米国は石炭火力の段階的な廃止の時期について賛同できないと示唆しているという。
【サンパウロ時事】国際会計事務所KPMGブラジルの調査によると、2022年1〜3月期に国内で行われたM&A(企業合併・買収)は、前年同期比47.4%増の553件だった。内訳はブラジル企業同士が57%増の384件。外国企業によるブラジル企業のM&Aが27%増の147件。外国企業によるブラジル国内外国企業のM&Aは15件、ブラジル企業による外国企業(国外)が7件だった。経済紙バロルが25日伝えた。
KPMGブラジルのパートナーであるモッタ氏は「調査は、ブラジル企業の合併・買収がブラジル企業同士と外国企業によるブラジル企業の取得の両方で引き続き非常に熱を帯びていることを示している。
国内外の経済状況が依然としてさまざまな課題を抱えているにもかかわらず、これらの数字は非常に活力がある」と評価している。
分野別では、インターネット企業が242件と最も多く、ITが83件で続いた。サービス事業者は35件、金融機関は26件、遠距離通信・メディアは20件、教育は19件。病院・診療所は16件、保険は13件、輸送は12件だった。