インドネシア版

2021年10月19日 (火)

警察不信高まる=不祥事多発、政権にも波及

 【ジャカルタ=時事】インドネシアで警察に対する国民の不信感が高まっている。ここ最近、デモ学生に対する警官の暴力や、性的虐待事件の捜査打ち切りといった不祥事が相次いで明るみに出たため。インターネット上では警察批判のハッシュタグやスローガンが流行し、政権満足度にも影響が及んでいる。こうした現状を受け、人権団体からは警察改革を求める声が出始めた。複数の地元メディアが報じた。

 18日付の英字紙ジャカルタ・ポストによると、バンテン州タンゲラン県では13日、県庁前の学生デモで警官による暴行事件が発生。ネット上に出回った動画では、警官の1人が学生1人を背後から羽交い締めにし、道路にたたき付ける様子が映っていた。 デモ隊は都市の汚染や新型コロナウイルス禍のボランティアへの不当な扱い、同県の道路の損壊に抗議していた。

 暴行を受けたのは同州セランの公立イスラム大学に通う21歳の男子学生。暴行した警官はタンゲラン市警の准将クラスで、名前は公表されていない。この警官は事件後、病院で手当てを受けている学生を見舞って直接謝罪したが、学生は警官が求めた抱擁に応じようとしなかった。

 バンテン州警察は15日、この警官が倫理規定に違反した可能性があるとして身柄を拘束。州警察のルディ本部長は、この警官が懲戒処分を受ける可能性があると述べた。

 地元ニュースサイトのトリブンニュースによると、学生は頭痛や吐き気、呼吸困難、肩や首が動かしにくいといった症状を訴え、MRI(磁気共鳴画像装置)検査のため別の病院に運ばれた。

 18日付のレプブリカ紙によると、ツイッター上では事件を受け、「警官よりも(民間銀行最大手の)セントラル・アジア銀行(BCA)の警備員の方がましだ」などと警察を非難する投稿が殺到している。

 ツイッター上では最近、南スラウェシ州東ルウ県で起きた父親による子供3人への性的虐待事件の捜査が中止されたことをめぐり、「警察に通報しても無駄(♯PercumaLaporPolisi)」とのハッシュタグも流行。事件は警察が2019年に通報を受けた後、証拠不十分として捜査を打ち切り、今年10月上旬に市民団体が捜査再開を求めたことで問題が全国化していた。

 18日付のコンパス紙によると、同紙が9月26〜10月9日に全国1200人を対象に行った世論調査で、ジョコ政権の満足度は66.4%と、4月の前回調査から2.7ポイント低下。 分野別では法執行に関する満足度が60.6%と前回調査よりも5ポイント低下しており、一因として性的虐待事件の捜査中止に対する失望が挙げられた。

 ◇警察の暴力、過去1年で651件

 ポストによると、国内の人権団体連合は15日、一連の警察不祥事を受け、政府に徹底的な警察改革を要求する声明を連名で出した。連合はこの中で、ハッシュタグの流行は責任感や透明性がなく、人権に無関心な警察に対する人々の強い不満を示していると指摘。「その結果、法執行や法そのものに対する国民の信頼が失われてしまった」と主張した。

 声明では地元人権団体コントラスのデータとして、警官による民間人への暴力事件が2020年6月〜21年5月の1年間で651件に上り、13人が死亡、98人が負傷したとの記録も開示された。 連合は「このデータは(警察による暴力の)氷山の一角にすぎない」と指摘している。

 アムネスティ・インターナショナル・インドネシアのウスマン・ハミド事務局長は14日の声明で、警察が謝罪や行政処分で十分と考えるならば、同様の事件は今後も再発すると警告。「警察が人道的な機関として見てもらいたいのであれば、暴力事件の加害者は公正な法的手続きで裁かれなければならず、具体的な再発防止策も講じなければならない」と主張した。

高速鉄道、駅1カ所の建設中止=コスト超過防止で

 インドネシア首都ジャカルタ―西ジャワ州バンドン間の高速鉄道事業で、駅1カ所の建設が中止され、計4駅に変更される。高速鉄道を運営する中国とインドネシアの合弁会社クレタ・チュパット・インドネシア・チャイナ(KCIC)のドゥイヤナ社長が18日明かした。建設中止は「コスト超過を防止するため」としている。また、政府は高速鉄道で決定した国費投入に関し、国家予算の残余金から総額4兆3000億ルピア(約330億円)を充てる方針とみられる。複数のメディアが報じた。

 地元ニュースサイトのドゥティックコムによると、KCICのドゥイヤナ社長は、西ジャワ州ワリニ駅の建設を中止すると説明した。これにより、高速鉄道はハリムとカラワン、テガルルアル、パダラランの4駅となる。 ただ、高速鉄道が完成すれば、将来的にワリニ駅を建設する可能性もあると述べた。

 一方、KCICに参画する国鉄クレタ・アピ(KAI)のディディク社長は18日、CNNインドネシアに対し、高速鉄道に対して政府が行う国費投入額が4兆3000億ルピアになることを明らかにした。財源は2021年予算の残余金で賄われるとしている。

 同事業をめぐっては、各種のコスト増や事業の遅れから総事業費が従来予定よりも約30%増の約80億ドル(約9150億円)に拡大。政府は国費を投入しないとしていた当初の公約を翻し、今月6日付の大統領規定の改正規定で国費投入を可能とした。(ジャカルタ=時事)

政権満足度66%に低下=「政治・治安」「法執行」で悪化顕著―地元紙調査

 18日付のインドネシア紙コンパス(1面)によると、同紙の世論調査で、ジョコ政権の満足度が10月時点で66.4%と、前回調査の4月から2.7ポイント低下した。分野別の評価では、「政治・治安」と「法執行」でそれぞれ顕著な悪化を示した。

 調査は9月26日〜10月9日、全国34州の1200人を対象に対面で実施。政権満足度は、前々回の今年1月が66.3%で、前回の4月は69.1%に上昇していた。

 分野別の満足度では「経済」のみが上昇し、4月時点から0.9ポイント増の58.7%となった。残る3分野は全て低下し、「政治・治安」が6.2ポイント減の70.8%で最大の下落幅を記録したほか、「法執行」は5.0ポイント減の60.6%、「社会福祉」は2.7ポイント減の68.6%となった。

 コンパス紙(電子版)によると、「政治・治安」では評価指標の一つである「国民による政権運営の監視機会」が他の4指標に比べて最も下落。「法執行」に関しては、▽賄賂の撲滅▽汚職・癒着・縁故主義(KKN)の撲滅▽全国民に対する平等的立場の保証▽人権侵害事件の解決▽法律事件の解決―の五つの指標で全て低下となった。

 国家研究イノベーション庁(BRIN)のフィルマン・ヌール政治研究長は、満足度を回復させるには政府が言論の自由や市民参加といった民主化を進めることが必要と指摘。「これまで政府に批判だった層と話し合い、解決策を探るべきだ」と述べた。(ジャカルタ=時事)

バドミントン国別対抗戦で優勝=制裁で国旗掲揚できず

 【ジャカルタ=時事】デンマークで行われていたバドミントンの国・地域別対抗戦、男子トマス杯で17日、インドネシアが19年ぶり14度目の優勝を果たした。ただ、世界反ドーピング機関(WADA)からの制裁により、国旗を掲揚できなかった。これに関し、国内の著名スポーツ選手からは、政府が国際規定を守らず役割を果たせていないと批判の声が上がった。

 CNNインドネシアによると、世界反ドーピング機関は9月15日、インドネシア反ドーピング機関が2020〜21年分の検体を提出していないとして警告書を送付。期限までに返事がなかったため、今月7日には五輪以外での国旗掲揚禁止や世界選手権の開催禁止といった制裁を科していた。

 青年・スポーツ省が18日、公式サイトで発表したところによると、ザイヌディン・アマリ青年・スポーツ相は、制裁を早期に解除するため、委員会を立ち上げたと明かした。また、同相とインドネシア反ドーピング機関は、国旗が掲揚できなかったことについて謝罪した。

 国営アンタラ通信などによると、東京五輪男子重量挙げ銀メダリストのエコ・ユリ選手は18日、選手だけでなくインドネシアの政府や反ドーピング機関も規律を守り、それぞれの役割を果たすべきと批判。04年アテネ五輪バドミントン男子シングルス金メダリストのタウフィク・ヒダヤト氏は、国際規定を守れない場合、インドネシアが将来的に目指す五輪開催への道のりは険しいと指摘した。

《トップニュース》

《新型コロナ関連》

  • 映画館、収容70%に緩和=活動制限
  • コロナ感染626人増

《経済》

  • ハラル認証取得を義務化=医薬品と化粧品、消費財で―宗教省
  • コロナ前より大幅減益か=国営企業、再編推進でも
  • EV版F1、来年6月に開催決定=首都ジャカルタで
  • シンガポール新興企業がデータセンター建設=インドネシア・バタム島に
  • 〔東南アジア株式〕おおむね上昇=クアラルンプールは一時5カ月ぶり高値(18日)

《政治》

  • 法治国家度ランキング、17位に後退=日本は15位

《コラム・リポート》

  • 【早読み!週刊誌】ノーベル賞受賞者、日本嫌いの理由(10月11〜17日)

《シンガポール》

  • サマセットに観光施設開発へ=「未知の体験型アトラクション」募集
  • 9月の輸出12.3%増=市場予想上回る
  • コロナ対策、「ゼロ」でも「共存」でもない=中道的アプローチで死者抑制―オン保健相
  • GIC、チェコの通信インフラ企業株を取得=PPFから

《中国・香港・台湾》

  • 中国経済、さらに減速へ=電力不足や恒大危機―習指導部が引き締め
  • ソニーに罰金=盧溝橋事件の日に新商品―中国・北京市
  • 1〜9月貿易額は23%増=3兆元目前―浙江省
  • TPP加入、日本の支援に期待=「中国が妨害」と批判―台湾交渉トップ
  • 極超音速兵器でなく「宇宙船」=往復技術の実験と主張―中国

《マレーシア》

  • タッチアンドゴー電子財布、ドゥイットナウ送金機能に対応
  • 中韓越の冷延コイルへの反ダンピング税継続=貿易産業省
  • ペトロナス、上流部門の設備投資に年200億リンギ=27年までの5年間で
  • マレーシア、仏と潜在26億リンギの投資交渉まとめる=貿易産業省が代表団派遣

《タイ》

  • ジェトロ、日本産食品の第2回オンライン商談会開催=過去最多の171社参加
  • シチズン時計、タイの工作機械工場で生産強化
  • 中国とインドの投資誘致に注力を=コロナ禍で隣国に遅れとる―タイTCC
  • バングラデシュとのFTA交渉、来年開始へ=タイ商務省

《その他アジア》

  • カータム油田、原油生産量100万トン突破=操業開始3年で―ベトナム・ロシア合弁会社
  • ビナケム、4子会社からの出資引き揚げを継続=ドクザンケミカルなど―ベトナム
  • 合意不履行、民主派が原因=首脳会議排除に反発―ミャンマー軍トップ

《自動車・二輪》

  • 三菱自、新CEOに池田氏=マレーシア
  • トヨタ、米で3800億円投資=EV用電池生産、30年までに
  • 恒大汽車などEV新興、ファンド出資を模索=上場条件厳格化で―広東省・中国
  • 米フォード、英工場に360億円投資=脱炭素でEV用部品製造へ

《Japan/World Today》

  • 経済安保に配慮できず=LINEの情報管理で最終報告
  • 政府、原油高対策で閣僚会合=生活への影響懸念、増産要請
  • 1000人超が立候補へ=定数465争う―衆院選

《人事・訃報》

  • 森山真弓氏死去、93歳=女性初の官房長官
  • コリン・パウエル氏死去=黒人初の米国務長官―コロナ合併症
  • 山本長氏死去=元空港施設社長、元海上保安庁長官

《マーケット情報》

  • 三菱UFJ銀行 アジア通貨日報 2021年10月18日
  • アジア主要市場の株価指数(18日、カッコ内は前営業日比)
  • 三菱UFJ銀行直物為替公表建値 10/18
  • 上海メタル(18日)

《新聞各紙から》

  • 東京各紙朝刊(19日)

《お知らせ》

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