2022年8月15日 (月)
【ハノイ時事】ベトナム税関総局が公表した2022年7月の貿易統計によると、輸出は前年同月比9.89%増の306億0749万ドル(約4兆0540億円)、輸入は4.21%増の305億3312万ドルだった。貿易収支は7436万ドルの黒字で、2カ月連続の輸出超過となったが、黒字額はかなり小幅になった。
◇履物輸出は63.6%の大幅増
最も輸出額が大きかったのは、電話・携帯電話・部品。前年水準を7.58%下回ったものの、43億6501万ドルでトップだった。機械・設備・部品が39.55%増の40億9459万ドルで続き、コンピューター・電子機器・部品は7.00%増の39億4154万ドルで3位だった。
上位10品目のうち、伸び率が最も大きかったのは履物で63.65%増加した。
上位10品目のうち、7品目の輸出額が10億ドルを上回った。10位になった鉄鋼は、数量が46.08%落ち込み、輸出額は39.86%減の6億4469万ドルにとどまった。
◇価格高で、燃料輸入膨らむ
輸入額が最大だったのは、コンピューター・電子機器・部品で9.74%増の68億8618万ドルとなった。機械・設備・部品は3.62%減の40億3017万ドルで2位、電話・携帯電話・部品は4.87%増の17億7382万ドルで続いた。米連邦準備制度理事会(FRB)など主要な中央銀行による利上げを受け、世界的に個人消費の勢いが弱くなる中、スマートフォン出荷が低調になってきており、韓国サムスン電子はベトナムでのスマホ生産ペースを落としていると伝えられている。
石油価格が高水準での推移を続ける中、ガソリンなどの石油製品輸入は数量が1.57%減ったが、金額は81.81%の大きな伸びになった。国内でのガソリン価格は7月に引き下げが続いたが、依然、高値水準にある。夏場の電力不足を回避するために必要な発電用を含めた石炭輸入額も56.49%の高い伸びになった。プラスチックも11億2795万ドルに6.37%増えた。燃料高に伴って輸入代金が膨らんでおり、貿易黒字が縮小した要因と言えそうだ。
自動車輸入は金額が4.04%増の2億9952万ドル、台数は0.13%増の1万4360台だった。インドネシアからの輸入は金額が76.85%、台数が47.92%とともに大きく伸びた。
タイからの輸入は金額が38.63%、台数が37.63%のマイナスだった。日本からは金額が32.34%減の1005万ドル、台数が45.95%減の180台だった。
半導体を含めた自動車部品は世界的なサプライチェーン(供給網)に混乱が生じてきたが、新型コロナウイルスの完全な封じ込めを狙った中国による上海でのロックダウン(都市封鎖)措置が解除され、徐々に正常化に向かうことが期待されている。自動車部品の輸入額は、中国からが50.19%、日本からは26.75%それぞれ伸びた。
◇1〜7月は10.8億ドルの黒字
1〜7月の累計は、輸出が前年同期比16.59%増の2173億4096万ドル、輸入が13.98%増の2163億5848万ドル。
貿易収支は10億8247万ドルの黒字だった。輸出は電話・携帯電話・部品(13.87%増)などハイテク関連に加え、繊維・衣料品(20.35%増)、履物(19.39%増)、水産物(33.65%増)が順調に伸びた。
輸入はコンピューター・電子機器・部品のほか、燃料が大きく増えた。ガソリンなど石油製品は、金額が2.2倍の57億2642万ドル、石炭の輸入額も49億9208万ドルで2.2倍に大きく膨らんだ。自動車は、金額が11.99%減の18億6978万ドル、台数は18.23%減の7万8026台だった。
◇22年7月の主な貿易品目
輸出 金額 前年同月比 輸入 金額 前年同月比
電話・携帯電話・部品 43.65 ▲7.58 コンピューター・電子機器・部品68.86 9.74
機械・設備・部品 40.94 39.55 機械・設備・部品 40.30 ▲3.62
コンピューター・電子機器・部品39.41 7.00 電話・携帯電話・部品 17.73 4.87
繊維・衣料品 36.82 17.40 その他 16.73 11.44
履物 22.72 63.65 生地 11.46 ▲6.31
その他 14.38 12.03 プラスチック 11.27 6.37
木材・加工製品 13.05 ▲3.15 鉄鋼 10.32 2.53
その他輸送機材・部品 9.79 3.79 化学 8.50 28.33
水産物 9.43 11.41 その他非鉄 8.08 12.11
鉄鋼 6.44▲39.86 化学製品 7.70 ▲3.77
合計 306.07 9.89 合計 305.33 4.21
※税関総局の統計資料を基に作成。
金額は億ドル、100万ドル未満切り捨て、前年同月比は%、▲はマイナス
◇22年1〜7月の主な貿易品目
輸出 金額 前年同期比 輸入 金額 前年同期比
電話・携帯電話・部品 339.04 13.87 コンピューター・電子機器・部品501.02 25.18
コンピューター・電子機器・部品317.21 14.82 機械・設備・部品 266.37 ▲1.80
機械・設備・部品 254.77 26.96 電話・携帯電話・部品 120.78 12.37
繊維・衣料品 222.39 20.35 その他 116.30 10.92
履物 140.67 19.39 生地 91.08 6.97
木材・加工製品 97.16 1.14 鉄鋼 80.05 17.70
その他 96.54 11.43 プラスチック 78.91 10.47
その他輸送機材・部品 67.45 5.23 化学 59.45 33.01
水産物 66.41 33.65 その他非鉄 58.37 13.25
鉄鋼 56.33 0.98 石油製品 57.26 120.13
合計 2173.40 16.59 合計 2162.58 13.98
※税関総局の統計資料を基に作成。
金額は億ドル、100万ドル未満切り捨て、前年同期比は%、▲はマイナス
【ハノイ時事】ベトナム税関総局の貿易統計によると、2022年1〜7月の対米貿易黒字は前年同期比29.83%増の582億9567万ドル(約7兆7213億7800万円)になった。ベトナムにとって、米国は最大の輸出相手。輸出が機械・設備・部品(113億5320万ドル)、繊維・衣料品(111億3836万ドル)を中心に24.19%増の669億8623万ドルに増えた。輸入は86億9056万ドルで、3.85%のマイナスだった。
◇韓国とは239億ドルの赤字
最大の輸入相手である中国とは、輸入が13.02%増の715億1798万ドル、輸出が5.09%増の300億0665万ドル。
貿易収支は415億1132万ドルの赤字となり、赤字額は19.54%膨らんだ。
世界的なハイテク大手のサムスン電子が本拠を置く韓国とは、輸出が16.79%増の141億9938万ドル、輸入が26.55%増の381億5911万ドルで、239億5972万ドルの赤字だった。日本とは、輸出が13.39%増の134億3822万ドル、輸入が8.90%増の138億7811万ドルで、4億3988万ドルの赤字だった。
◇輸出の73%超は外資系企業
1〜7月の輸出額全体に占める外資系企業の取引の割合は73.16%。輸入額では64.86%となった。韓国のサムスン電子をはじめとした外資系の輸出企業がそれぞれの本国を含めた海外から部品、資材を輸入して、米国などに製品として輸出する形が鮮明になっている。
7月の動向は、米国とは輸出が前年同月比20.50%伸び、貿易黒字額は26.65%増の88億8720万ドルだった。対中赤字は61億6418万ドル、対韓赤字は35億2447万ドル。日本とは、輸出が16.33%増の20億5817万ドル、輸入が4.46%減の18億0758万ドルで、2億5058万ドルの黒字となった。
【ハノイ時事】ベトナム運輸省のチャン・バオ・ゴック運輸局長は、燃料価格の低下にもかかわらず、運賃の改定を行わない輸送事業者に早期に値下げするよう要請した。ベトナム・ニュース紙(電子版)が12日報じた。
運輸局は、燃料価格が今年1月以前の水準に低下したにもかかわらず、多くの輸送事業者が依然、料金改定を拒否していると指摘した。ゴック局長によれば、燃料コストは輸送事業者のコスト全体の30〜40%を占めている。各事業者は、燃料が値上がりすれば、料金を引き上げており、値下がりした際に料金の引き下げを求められるのは当然となる。
行政手続きが必要なため、料金の引き下げには時間がかかるが、多くの企業は、燃料価格低下への対応を遅らせる言い訳として、この問題を取り上げているという。
ゴック局長は、「事業者は燃料価格低下への対応を過度に遅らせるべきではない」と言明。「燃料価格は下落しており、料金の引き下げをこれ以上遅らせることは受け入れがたい」と述べた。各事業者に対して、地方の運輸局に早急に新料金の認可を申請し、手続き後に新たな運賃を公表することを求めた。
ゴック局長は運輸省運輸局として、各事業者が公表した運賃を順守し、口先だけの対応にならないよう、当面の間、検査に力を入れると述べた。「燃料価格が下がる中で、事業者が料金改定に動かない場合には、認可の取り消しすらあり得る」とし、厳しい姿勢で臨む構えを示した。
ファム・ミン・チン首相は関係省庁に、物価上昇を防ぎ、インフレの進行を食い止めるため、情勢を注視し続けるよう指示した。燃料価格の低下による事業コストの影響を評価し、可能であれば、料金の引き下げを企業に求めることも注文していた。
ベトナムでコロナ禍からの経済回復を目指す2022、23年の景気対策や公共投資の加速により、建設業界が大きな恩恵を受ける見通しだ。ベトナム・インベストメント・レビュー紙(電子版)が伝えた。
ベトナムのグエン・バン・テ建設相は先ごろ、南北高速道路建設事業第1期分の4区間、計361キロメートルが今年末までに共用開始される見通しだとのリポートを政府に提出した。残りの6区間は23年に完成する見込みであるほか、第2期工事の12区間についても公共投資として建設することを、国会が承認している。政府は今年内に着工手続きを行い、26年までの完成を目指す。南北高速建設の本格化により、建設関連企業の成長への期待は確固としたものになる。
重要インフラ建設は全て基礎工事が必要で、専門知識を有する企業が求められる。このため、シエンコ4、ビナコネックス、フェコン、イディコ・クオントゥアン開発投資、タスコといった実績ある企業に機会を提供するとみられている。また、ハイテクを活用した「スマート輸送」推進の観点から、エルコム通信技術、ティエンフォン技術といった企業もインフラ建設事業に機会を得ると見込まれる。
AIS証券研究センターのフン・チュン・キエン所長は、22年の2大重要政策は主要インフラ建設事業と、成長促進の金融政策だと指摘。株式市場環境が今後改善し、公共投資の加速で恩恵を受ける企業の株価は急騰すると予想する。
また、ベトナム建設証券のドー・バオ・ゴック副最高経営責任者(CEO)は、短期的には資材価格の上昇により多くの建設関連企業の利幅は圧迫されるとする一方、公共投資への大きな需要を背景に、長期的にはこれら企業の収益見通しは良好だとしている。
計画投資省によると、22年に公共事業に支出される資金は約235億6000万ドルで、前年と比べ47億8000万ドル増えるほか、16年と比べ2.5倍の規模になる。(時事)
ベトナム物流サービス企業協会(VLA)は、ベトナム商工会議所(VCCI)の協力で2022年省市別物流競争力指数(LCI)のプロジェクトを開始した。サイゴン・タイムズ紙(電子版)が報じた。
LCIは、物流部門における各省・市の成長率や特性、インフラ、政策を評価し、概観を示す指標で、それによって物流コストの削減や生産および輸出の促進、外国投資を呼び込むことなどが期待される。
また、輸出入や取引に必要な物流の開発における各省・市間の違いや格差を示すことで、国内外の企業が事業の拡大や場所の選定に役立つと見込まれる。地方の政策の策定に活用し、物流部門の改善と発展に役立てることもでき、政策立案者はこの指数を経済改革政策の基準として活用できる。
LCIプロジェクトは、VLAがVCCI、ドリームインキュベーター社、ベトナム物流開発研究所と協力し、企業や専門家、政府機関の調査データを使用して実施される。(時事)